摩・擦(読み)さする

精選版 日本国語大辞典 「摩・擦」の意味・読み・例文・類語

さ‐す・る【摩・擦】

〘他ラ五(四)〙 (「さ」は接頭語。「する」は「擦る」)
手のひらなどで物の表面を反復的に軽くこするようにする。
平治(1220頃か)上「爰打て、かしこさすれとて、寝給ひけるに」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「鉄瓶の銅を挲(サス)りながら」
② (「胸をさする」の形で) 気持などを抑えしずめる。
※狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉八「他人より害を受けても胸を擦(サス)って之を宥し」

さすり【摩・擦】

〘名〙 (動詞「さする(摩)」の連用形名詞化)
① さすること。また、体をさすったりもんだりして患部を治療することを業とする人。按摩(あんま)
※歌舞伎・金門五三桐(1778)四幕「ドレドレ、擦(さす)ってやらう。おれは擦(サス)りが、きつい上手ぢゃ」
② めかけ。情婦。→おさすり。〔和英語林集成再版)(1872)〕
建築で、二つの面が同一平面上にあること。

すれ【摩・擦】

〘名〙 (動詞「すれる(摩)」の連用形の名詞化) すれること。すれていること。手ずれ。
※登山技術(1939)〈高須茂〉山稜渓谷ザイルの摩れやひっかかりを緩和する方法を」

すり【摩・擦】

〘名〙 (動詞「する(摩)」の連用形の名詞化) 中世から近世初頭にかけて流通市場にあった粗悪銭の一つ摩滅のはなはだしいものをいった。たびたびの撰銭(えりせん)によって流通市場から排除された。

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