掻繕(読み)かいつくろう

精選版 日本国語大辞典 「掻繕」の意味・読み・例文・類語

かい‐つくろ・う ‥つくろふ【掻繕】

〘他ハ四〙 (「かい」は接頭語)
① 鳥の羽や髪の毛など、乱れた筋目のものや乱れやすい筋目のものを整える。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「宮はたおくれば、かしらかいつくろひ、さうぞくせさせてやりつ」
② 身づくろいをする。乱れた服装、髪などをなおす。威儀を整える。気をひきしめ、改まった態度をとる。
※白氏文集天永四年点(1113)三「衣を斂(カイツクロヒ)(かうぶり)を整へ潜かに涙垂る」
③ 準備を整える。きちんとしたくをする。
今昔(1120頃か)二五「馬腹帯結(ゆひ)、胡録(やなぐひ)など掻䟽(かひつくろひ)て、取て返して追ひ行けるに」
④ こわれたところを修理する。傷などの治療をする。
※今昔(1120頃か)一三「駄(におひうま)の足折れ損じて乗るに不能(あたは)ざれば、明日、駄の足を䟽(かいつくろ)ひ、亦、他の馬にまれ求て不参也」

かき‐つくろ・う ‥つくろふ【掻繕】

〘他ハ四〙 (「かき」は接頭語)
① 筋目の乱れたもの、乱れやすいものをきちんと整える。体裁よく並べる。筋道をとおす。かいつくろう。
落窪(10C後)一「万に、くだ物、栗など、かきつくろひゐたり」
源氏(1001‐14頃)若紫「御ぐしかきつくろひなどし給ひて」
② 身づくろいをする。乱れた姿形をなおす。威儀をととのえる。かいつくろう。
※今昔(1120頃か)二四「止事无(やむことな)き人の、此(か)く責め給ふ事を、冷(すさまじ)くて止(やま)むも便(びん)无かるべし、と思て、袖を掻䟽(かきつくろ)ひて、此(かく)なむ申し上ける」

かい‐つくろい ‥つくろひ【掻繕】

〘名〙 (かいつくろうこと、とりつくろうこと、また、その人の意から) 介添え役の女房。かしずき。特に五節(ごせち)の介添え役の女房をいう。
※枕(10C終)九二「かいつくろひ二人、童よりほかには入るまじと戸をおさへて」

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