掴・攫・抓(読み)つかむ

精選版 日本国語大辞典 「掴・攫・抓」の意味・読み・例文・類語

つか・む【掴・攫・抓】

〘他マ五(四)〙
① 手で物をにぎり持つ。しっかりとにぎって離さないようにする。
※大智度論平安初期点(850頃か)一六「鉄の爪を以て相ひ爴(ツカミ)裂きて」
古本説話集(1130頃か)六七「ひだりみぎの御てに、なへをつかみて」
② 自分の所有とする。手に入れる。手中におさめる。
随筆・独寝(1724頃)下「猿程につかみたがるものは女郎
※どちらでも(1970)〈小島信夫〉三「レッキとした証拠をつかんでいる」
遊女などをわがものにする。
(イ) 遊女・若衆を座敷へよぶ。女郎買をする。
浮世草子・好色一代男(1682)五「三軒に八十余人の姿を見尽し、其中で天神かこひ七人抓(ツカミ)て」
(ロ) 遊女を身請(みうけ)する。落籍する。うけだす。
※浮世草子・好色二代男(1684)六「毎夜早駕籠の大臣と申せし人の(ツカ)んで、都の水でそだちける、此太夫の事は」
賄賂(わいろ)を取る。収賄する。
浄瑠璃・諸葛孔明鼎軍談(1724)一「賄(まひなひ)貪る詞のはしばし、目まぜ仕形でつかみたがる、大欲心の」
⑤ 誘拐する。かどわかす。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)湊「天狗にいとまもこはで参らば、又つかまれんもしれず」
機会や重要な点、人の心などをしっかりととらえる。
※俳人蕪村(1897)〈正岡子規〉積極的美「新虚栗の時何者をか攫まんとして得る所あらず」
蒲団(1907)〈田山花袋〉三「機会を攫(ツカ)むに於て敢て躊躇するところは無い筈だ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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