日本大百科全書(ニッポニカ) 「掛け時計」の意味・わかりやすい解説
掛け時計
かけどけい
柱や壁にかけ、定姿勢で用いられる時計。重錘(じゅうすい)式、ぜんまい式、コード付き(家庭用電源)、電池式と多種類あるが、トランジスタ時計が売り出されてからは、ぜんまい式にかわって電池式が大半を占めるようになった。しかも1975年(昭和50)以降、その電池式の中味が、振り子やてんぷ時計から水晶時計に急速に置き換わっている。しかし掛け時計は長い間親しまれてきた商品であることから、機械部分は水晶式となっても、装飾として分銅や振り子をつけているものがある。鳩(はと)時計もその一つで、松かさ形の分銅をもち、ケースは木彫細工で正時または30分ごとに文字板上部の扉が開いて鳥が時を告げる。この時計は18世紀ドイツのケッテラAnton Ketterer(1676―1750)がつくり始めたという。また日本では、掛け時計にボンボン時計の愛称がある。これは、明治期にアメリカから八角形や丸形の、ボンボンと時を打つ安価な掛け時計が大量に輸入され広く愛用されたことから、時打ち掛け時計の呼び名となったものである。
[元持邦之]
[参照項目] |