捏返(読み)こねかえす

精選版 日本国語大辞典 「捏返」の意味・読み・例文・類語

こね‐かえ・す ‥かへす【捏返】

[1] 〘自サ五(四)〙
物事が複雑にいりくむ。紛糾する。ややこしくなる。
※雑俳・住吉みやげ(1708)「釣針ねこがかかってこねかへす」
② 狭い場所にあれこれ入り乱れる。ごったがえす。
俳諧続猿蓑(1698)冬「こねかへす道も師走の市のさま〈曾良〉」
③ どうにか生活してゆく。
[2] 〘他サ五(四)〙
① 手や棒状のものを土や粉状のものに突き入れて何度もかきまぜる。こねまわす。こねくり返す。
※室町殿日記(1602頃)四「一千余の人数を卒して西岡南村へ相はたらき、民屋を放火し、植田をこね返し」
② 物事をいじくりまわす。また、その結果として混乱させる。紛糾させる。こねまわす。
甲陽軍鑑(17C初)品一三「十人の中に、八人九人は、無心懸の弱者共に、こね返され」
※隣の嫁(1908)〈伊藤左千夫〉三「どう腹の中でこねかへしても、つまりおとよさんは憎くない」

こねくり‐かえ・す ‥かへす【捏返】

〘他サ五(四)〙
① 何度もこねる。こね返す。
※赤い国の旅人(1955)〈火野葦平〉四月二四日「そのあたり一帯、土堤の土がこねくりかえされたり」
② 物事をあれこれといじくりまわす。こね返す。
※閑散無双(1934)〈徳川夢声〉尖端軟端花魁見物記「新宿近辺に因んだ言葉を、頭の中で出鱈目コネくり返してゐる内に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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