拾島状況録(読み)じつとうじようきようろく

日本歴史地名大系 「拾島状況録」の解説

拾島状況録
じつとうじようきようろく

一冊 笹森儀助

原本 青森県立図書館

解説 鹿児島県大島島司の笹森儀助が記した管内の川辺郡十島(現三島村・十島村)の視察巡回記録。笹森は現青森県弘前市出身。明治二七年五一歳のとき大島島司に任ぜられ、同三一年八月まで同職にあった。十島の行政産業振興に必要な資料を得る目的のもと、同二八年五月から八月まで三ヵ月半を費して島々を巡察し、のち詳細な調査記録を作った。竹島・硫黄島・黒島・口之島・中之島臥蛇島平島諏訪之瀬島・悪石島・宝島の島ごとにほぼ同様の編・章・節を立てて記録している。最大の島の中之島に例をとると、第一編土地(第一章地形・山岳・沿岸・港湾、第二章山林・原野・耕地・道路・用水・地質・温泉・池沼、第三章村落、第四章硫黄山、第五章古跡、第六章家畜及自然・獣鳥及虫類)、第二編住民(第一章沿革、第二章産業、第三章生活、第四章財産、第五章売買及交換、第六章貸借、第七章島外ノ収入、第八章租税及公費、第九章風俗、第一〇章体格、第一一章疾病、第一二章教育、第一三章智識、第一四章行通)、第三編村治(第一章行政組織、第二章村民協議会、第三章規約)、第四編寺社(第一章寺院、第二章神社、第三章神仏崇信)、第五編雑件(第一章犯罪及訴訟、第二章書信、第三章徴兵、第四章火災、第五章果樹、第六章災害、第七章難破船)となっている。近世習俗や生活様式を色濃く残していた明治中期の十島の実情を網羅的に知ることができる。

活字本 日本庶民生活史料集成第一巻など

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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