押通(読み)おっとおす

精選版 日本国語大辞典 「押通」の意味・読み・例文・類語

おっ‐とお・す ‥とほす【押通】

〘他サ五(四)〙 (「おっ」は接頭語)
① ある状態をある期間内、継続させる。とおす。
人情本・春色籬の梅(1838‐40頃)一「何でも男といふものは押通(オットホ)して側に居る女をば深く思はなひで」
② 無理にとおす。どこまでもやりぬく。主張などを終わりまで変えないでいく。
琵琶伝(1896)〈泉鏡花〉三「訴人をしろと謂ふ、いひつけはしなさらねえだから、吾(おれ)知らねえで、押通(オットホ)しやさ」

おし‐とお・す ‥とほす【押通】

〘他サ五(四)〙
① むりにとおす。貫きとおす。また、歩き通す。〔文明本節用集(室町中)〕
※東京灰燼記(1923)〈大曲駒村〉八「鎌倉まで押し通す覚悟だ」
② どこまでもやり抜く。主張などを終わりまで変えない。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一三「芸妓でおしとほしてやって見ると、さも手軽さうにいふけれども」

おし‐とお・る ‥とほる【押通】

〘自ラ五(四)〙
① (「おし」は接頭語) (鼻筋などが)まっすぐにきわだっている。
浮世草子五箇の津余情男(1702)四「鼻筋をしとをりたる、十二三歳計の子の」
② むりやりに通る。
※浄瑠璃・こ大ぶ(1641)六「こ大ふななめに喜び、いそぎろうやへ、をしとをらんと思ひしか」

おっ‐とおし ‥とほし【押通】

〘名〙 おしとおすこと。休まないで続けること。
※歌舞伎・富士額男女繁山(女書生)(1877)序幕「おらあ是れから押通(オットホ)しで、熊谷(くまがひ)まで引っ張るのだ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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