抱・懐(読み)うだく

精選版 日本国語大辞典 「抱・懐」の意味・読み・例文・類語

うだ・く【抱・懐】

〘他カ四〙 (「いだく」「だく」の古語)
① 腕に抱える。むだく。いだく。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「婢即ち勅を受けて抱(ウタキ)て往きて之を棄てつ」
※霊異記(810‐824)上「甚だ熱き銅の柱を抱(ウダカ)しめられて立つ。〈興福寺本訓釈 抱 有太加之〉」
② 心に思う。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)二「稟けたる性淳質にして常に慈悲を懐(ウダき)、博学多才にして諸の技芸備(そな)はれり」
[語誌]イダクが和文資料を中心に用例が認められるのに対し、ウダクは漢文訓読資料に偏る。ウダクの確例は中古初期からであり、上代はムダク。語頭のウ・ムの交替はウバフ・ムバフなど用例が多いが、イも関わるのはイバラ・ウバラ(ムバラ)ぐらいである。

むだ・く【抱・懐】

〘他カ四〙 (「身(む)(た)く」の意か) 両手でかかえこむ。抱く。うだく。いだく。
新訳華厳経音義私記(794)「抱持 上取也、牟太久」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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