精選版 日本国語大辞典 「投込寺」の意味・読み・例文・類語
なげこみ‐でら【投込寺】
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江戸吉原の遊女人口は享保年間(1716-36)以降,3000人から4000人を数えるが,階層の低い遊女が半数を占めており,こうした遊女は死亡した後も無縁仏として,三ノ輪(みのわ)(現,荒川区南千住2丁目)の浄閑寺や,新鳥越橋南詰(現,台東区浅草7丁目)にあった土手の道哲(どうてつ)(浄土宗西方寺の俗称。現在,豊島区西巣鴨に移転),日本堤の正憶(しようおく)院(現在,足立区大谷田に移転)の山門の中に,なにがしかの銭を添えて投げ込まれた。投込寺という呼称はこうしたことから付けられた。吉原の出入口は大門に限られているが,遊女の死体はそこを通らず,不浄門から踏橋を渡って〈おはぐろ溝(どぶ)〉を越えて廓外へ出た。粗末な棺桶に入れられ,若者2人にかつがれて浄閑寺まで運ばれるが,なかには,むしろに素巻きにされ投げ捨てられた者もあったという。浄閑寺の過去帳には,戒名が〈売女〉〈遊女〉と記された者もあり,現在はこうした無縁仏を一括して吉原総霊塔が建立されている。また江戸四宿の飯盛(めしもり)女を埋葬した品川の法禅寺,善福寺,海蔵寺,新宿の成覚(じようかく)寺,板橋の文殊院,千住の金蔵院のうち,海蔵寺,成覚寺は投込寺と呼ばれている。
→吉原
執筆者:宮本 由紀子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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