新宿(読み)しんじゅく

精選版 日本国語大辞典 「新宿」の意味・読み・例文・類語

しん‐じゅく【新宿】

[1] 〘名〙 (「しんしゅく」とも) 新たに設けられた宿場。新しい宿場。
吾妻鏡‐建暦元年(1211)六月二六日「海道可立新宿事、度々雖其沙汰、未遵行之由」
[2]
[一] 東京都二三区の一つ。昭和二二年(一九四七)四谷・牛込・淀橋の三区が合併して成立。武蔵野台地東端の淀橋台地にある。江戸時代、東半部には武家屋敷が多く、現在は住宅地となる。東京都庁などの高層ビル街や、新宿御苑・神宮外苑があり、早稲田大学などの文教施設も多い。
[二] (甲州街道の日本橋と高井戸宿との間に元祿一一年(一六九八)新しく設けられた宿駅であるところから) 東京都新宿区南西部の地名。一~七丁目に分かれる。江戸時代は甲州街道の宿駅、内藤新宿として知られた。中央本線の開通・私鉄の乗入れにより、大正末期から繁華街として急速に発展した。
[三] JR・私鉄の一大ターミナル新宿駅を中心とする地域の呼称。新宿駅の乗降客数は日本一。都庁も置かれ、東京都の新都心として発展している。

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デジタル大辞泉 「新宿」の意味・読み・例文・類語

しんじゅく【新宿】

東京都の区名。昭和22年(1947)四谷・牛込・淀橋の3区が合併して発足。江戸時代の甲州街道青梅おうめ街道分岐点の宿駅(内藤新宿)の名をとった。新宿駅を中心に副都心として発展し、駅西側には超高層ビルが林立する。平成3年(1991)新都庁庁舎が完成し移転。人口32.6万(2010)。

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日本歴史地名大系 「新宿」の解説

新宿
しんじゆく

駅ターミナルの繁華街として、この一世紀半近くで、新宿は首都東京のなかでもっとも激しい変化を重ねた盛り場の一つである。江戸以来の盛り場浅草が席を譲った銀座にかわり、新宿が駆抜けた道程は日本の高度経済成長史そのものである。

現在、JR新宿駅を取囲むこの地域の象徴は、駅西口の超高層ビル街、東口の繁華街歌舞伎かぶき町、新宿御苑などであるが、その原点は江戸時代甲州道中沿いの宿場町四谷にかわって新たに開かれた内藤新宿にあった。幕末維新期に武士・旅人・小商人などの往来、駄馬の付通しなどがみられ、武家地や町屋などに旅籠・茶屋なども混じり、賑いをみせてきた江戸近郊の街道筋も、明治四年(一八七一)に宿駅伝馬制度が廃止されると、馬子たちの稼業を除けば衰退する一方であった。広大な面積を占めていた内藤家(信濃高遠藩)の武家屋敷地が明治新政府に収公され、日本最初の官立農業試験場の用地に転用された。同五年の設立当時、内藤新宿試験場とよばれた同勧農施設は内務省の所管のもとに果樹・穀物栽培、製糸・畜産の技術改良を担当、とくに洋種穀菜類の輸入・試植を進めて成果を収めた(その後、同施設は新宿御苑となり、昭和三三年に一般に開放された)。寂れた近郊の場末町新宿回復の契機になったのは、明治一八年、日本鉄道品川線(現JR山手線の一部)の一駅として、新宿駅が開設された頃からである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「新宿」の意味・わかりやすい解説

新宿 (しんじゅく)

東京都新宿区南西部の地名。JR新宿駅の周辺地区で新宿,西新宿,北新宿の町名がある。1698年(元禄11)高遠藩主内藤氏の下屋敷に甲州道中の宿駅として内藤新宿が設けられた。新宿追分(おいわけ)からは甲州道中の脇往還である青梅(おうめ)街道も分岐し,品川,千住,板橋と並ぶ江戸四宿の一つとして栄えた。

 1885年(明治18)赤羽と品川を結ぶ日本鉄道(現,山手線)新宿駅が設けられ,89年には甲武鉄道(現,中央線)が開通した。関東大震災以後,東京西郊の都市化が急速に進んだが,当時中央線は,西郊から都心に乗換えなしに行ける唯一の鉄道であり,さらに昭和に入って小田急,京王(追分発),西武(高田馬場~東村山)などの私鉄が集中したため,新宿は都内有数の繁華街に成長した。特に新宿駅から追分にかけては,三越新宿店,伊勢丹などのデパート,武蔵野館,新歌舞伎座(後に第一劇場)などの映画館,劇場が並び,パリのボードビルを地でいくムーラン・ルージュやバー,カフェに客が群れ,昭和初期の不景気風を吹き飛ばすほどの活気にあふれていた。

 第2次大戦直後,駅周辺には闇市が集まり,東口の中村屋横にできた〈ハモニカ横丁〉ではカストリ焼酎が売られ,〈カストリ文化〉の名も生まれた。闇市時代のおもかげは西口大ガード付近に残っている。戦後の復興も東口が中心であったが,その北側に歓楽街としての歌舞伎町が発達し,多くの人をひきつけるようになった。新宿コマ劇場をはじめとする映画街,ゲーム・センター,キャバレー,飲食店などの各種の娯楽・風俗営業がこの区域に集中している。1952年には西武新宿駅がつくられ,地下鉄では営団(現,東京地下鉄)丸ノ内線,都営新宿線(京王新線)が開通し,75年には巨大な地下街サブナードも誕生した。駅の西口もオフィス街へと変化しはじめ,特に60年に決定した〈新宿副都心建設計画〉により,65年に淀橋浄水場が閉鎖され,翌66年には立体的な新宿駅西口広場が完成した。淀橋浄水場跡には新宿中央公園と,ホテルなど30階をこす超高層ビル群が建ち並び,91年には東京都庁の新庁舎(第1,第2庁舎と議会棟)が完成して大オフィス街となり,現代日本の都市文明を代表する景観となった。さらに西側の京王新線初台駅近くには東京オペラシティビル(54階建)と新国立劇場が開設された。また96年10月には駅の新南口に高島屋新宿店を中心としたタカシマヤタイムズスクエアが開店,駅周辺の伊勢丹,小田急,京王,三越などとの集客競争が始まった。さらに都営地下鉄大江戸線,東京地下鉄副都心線も開通。行政上の新宿区は,1947年3月の区再編成により,淀橋,牛込,四谷の3区が合体して成立した。2010年の区部の人口は32万6309。ほかに区内には,新宿御苑,明治神宮外苑(国立競技場,神宮球場など),陸上自衛隊市谷駐屯地(尾張徳川家上屋敷跡),早稲田大学などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新宿」の意味・わかりやすい解説

新宿
しんじゅく

東京都新宿区南西部の地区で,新宿駅を中心とした繁華街。 JRの総武線,中央線,山手線や地下鉄の各線が交わり,京王電鉄,小田急電鉄,西武鉄道の諸私鉄の起点として交通の一大ターミナルをなす。江戸時代,甲州街道と青梅街道の分岐点として,内藤新宿の宿場町が発展。関東大震災後,中央線沿線の西郊住宅地を背景に,東京西部の商業中心地となった。デパートや専門店,劇場,飲食店が集中。駅の西側にあるかつての淀橋浄水場の広い敷地跡には東京都庁をはじめとする,超高層ビルが林立し,道路や公園も整備されている。

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世界大百科事典(旧版)内の新宿の言及

【内藤新宿】より

…江戸の北西部,武蔵国豊島郡に設置された甲州道中の宿駅で,江戸周辺の品川(東海道),千住(日光道中),板橋(中山道)とともに四宿と呼ばれた。現在の新宿区新宿1~3丁目一帯。江戸浅草阿部川町の名主喜兵衛ほか4人の出願によって1698年(元禄11)に置かれた新しい宿駅である。…

※「新宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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