打傾(読み)うちかたぶく

精選版 日本国語大辞典 「打傾」の意味・読み・例文・類語

うち‐かたぶ・く【打傾】

[1] 〘自カ四〙 (「うち」は接頭語)
① 斜めになる。横へ倒れかかる。首が傾く。うちかたむく。
蜻蛉(974頃)中「雨いたくふり、こち風はげしくふきて、ひとすぢふたすぢ、うちかたぶきたれば」
② 首をひょいとかしげて不審な様子をする。不思議がる。また、考える。思案する。うちかたむく。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「このつかふ女、ものくはせなど〈略〉いできて、うちかたぶきてみていふやう」
[2] 〘他カ下二〙
① (「うち」は接頭語) 一方に傾ける。斜めになるようにする。うちかたむく。
平治(1220頃か)中「頼盛も甲を打かたぶけ打かたぶけ、あひしらはれければ」
② 滅ぼす。くつがえす。

うち‐かたむ・く【打傾】

[1] 〘自カ四〙 =うちかたぶく(打傾)(一)
※車屋本謡曲・松山鏡(1539頃)「半月の山のはに、打ちかたむいて」
[2] 〘他カ下二〙
太平記(14C後)一八「顔打傾(カタム)けたれば」
※金刀比羅本保元(1220頃か)下「都へ責上り皇城を打傾(ウチカタム)けんに」

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