才覚・才学(読み)さいかく

精選版 日本国語大辞典 「才覚・才学」の意味・読み・例文・類語

さい‐かく【才覚・才学】

〘名〙 (「さいがく」とも)
① 才知と学問。学問。学識
御堂関白記‐寛弘六年(1009)四月二日「件僧雖浅臈、当時所有僧等中、才学頗勝れ」
※源氏(1001‐14頃)絵合「すこしも、さえなどつきぬべくや御覧じけむ、院の、のたまはせしやう、さいかくといふもの、世に、いと重くする物なればにやあらむ」 〔後漢書‐応泰伝〕
② (形動) 知恵のすばやい働き。才知を働かせること。機知機転、工夫などにすぐれていること。また、そのさま。
※発心集(1216頃か)一「都(すべ)て左様の才覚(サイカク)の者には非ず」
徒然草(1331頃)一〇二「又五郎男(をのこ)を師とする外の才覚候はじ」
③ (━する) 苦心、工夫して金、物品などを求めること。くめんすること。やりくり算段。
※虎明本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初)「爰(ここ)かしこ才覚仕て、淀一番の鯉をもとめて」
※浮世草子・世間胸算用(1692)二「左りの手に握るといふ海馬をさいかくするやら」
[語誌](1)漢語としては「才学」が本来の表記。「学」は、呉音「ガク」漢音「カク」であるが、通常は呉音で「ガク」と読まれる字であるために、清音(漢音)で読まれる「サイカク」の場合には「才覚」とも表記されるようになったものと思われる。
(2)漢籍においては「才学」は「才能」と「学識」との二つの意味を表わすが、日本では「学」字に意味の重点をおいて「学識」の意に用いていたと思われる。中世以降「才」に意味の重点が移り、②の意味で用いられることが多くなるとともに、「才覚」の表記が固定していったらしい。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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