惨憺・惨澹(読み)さんたん

精選版 日本国語大辞典 「惨憺・惨澹」の意味・読み・例文・類語

さん‐たん【惨憺・惨澹】

〘名〙 (形動タリ)
① なげかわしく悲しいこと。また、そのさま。いたましくあわれなこと。また、そのさま。
江戸繁昌記(1832‐36)初「春の明媚、秋の惨憺、帰雲抹靄、早晩の変」
※日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉五「此惨憺たる殺戮を」 〔杜甫‐送従弟亜赴河西判官詩〕
② さまざまに心を悩ますこと。また、そのさま。心をくだいて思慮するさま。「苦心惨憺
※六如庵詩鈔‐二編(1797)三・寄題波響楼「裁賦既非玄虚筆、才短惨憺苦冥捜」 〔杜甫‐丹青引贈曹将軍覇詩〕
③ あたりがうす暗くなって、気味が悪く恐ろしい感じのするさま。
明衡往来(11C中か)中末「詩人五六輩臨水檻而吟詠、峡雲惨憺想像巴州」 〔白居易‐渭邨退居寄礼部崔侍郎翰林銭舎人詩〕
[補注]「海に生くる人々〈葉山嘉樹〉二六」の「形容するのが惨憺な位に醜い女であった」のように「ナリ活用」と見られる例もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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