精選版 日本国語大辞典 「怪ず」の意味・読み・例文・類語
けしから‐・ず【怪ず】
① 特になんということもない。ろくでもない。たいしたこともない。
※宇津保(970‐999頃)春日詣「世の中のかくはかなければこそ、けしからぬ童部の行先思ひやられて、うしろめたうおぼえ侍れ」
② 普通の状態から外れていて、異常なほどである。
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「けしからず声高に、端近に色めかしきさまなどは見え給はましかば」
③ 不都合である。非難すべきさまである。あるまじきことである。いけない。
※枕(10C終)二七八「けしからず、腹ぎたなくおはしましけりなどいへば乗りぬ」
④ あやしげである。まともでない。
⑤ 一通りでなくすばらしい。並たいていでない。
※看聞御記‐永享四年(1432)八月二九日「禁裏御対面之由源宰相申、けしからず御成長云々、珍重也」
⑥ たいそう。並はずれて多い。
※大観本謡曲・土蜘蛛(室町末)「又御太刀つけの跡を見候へば、けしからず血の流れ候」
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