怠・懈(読み)だるい

精選版 日本国語大辞典 「怠・懈」の意味・読み・例文・類語

だる・い【怠・懈】

〘形口〙 だる・し 〘形ク〙 (「たるい」とも)
① 疲れて活気がない。おっくうである。たゆい。
※百丈清規抄(1462)一「互跪と云は久しく跪けばたるいほどに、かたかたづつとりかえとりかえ、ひざを地につくるを云ぞ」
浄瑠璃・浦島年代記(1722)二「拍子にかかって御恥しい長噺、頤(おとがい)がだるい」
② しまりがない。きりっとしていない。ゆるい。
※評判記・吉原呼子鳥(1668)ゑもん「ちとたるし、せけんにていふ、坊主たらしのめもとにて」
※浮世草子・男色大鑑(1687)七「下髪のたるひ姿をようは見てゐる事と」
③ 遅い。のろい。はかどらない。また、不十分である。
※浮世草子・椀久一世(1685)下「是れさ此男中々だるい事見て居る事でないと」
④ 味が甘く感じる。甘さがしつこい。
随筆守貞漫稿(1837‐53)四「京坂の人は江戸にて甘味を用ふを、たるしと云て忌之て美食とせず」
[語誌]現代語では語頭濁音形の「だるい」が標準形であるが、これが本来の形とは考え難い。方言として、広範囲に「たるい」が分布していること、「疲れる」の意の動詞「たる」が存在すること、「匠材集‐三」に「足たゆく あしたるき事なり」とあることなどから、本来は清音形の「たるし(い)」であったと推定される。
だる‐げ
〘形動〙
だる‐さ
〘名〙

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