思合(読み)おもいあう

精選版 日本国語大辞典 「思合」の意味・読み・例文・類語

おもい‐あ・う おもひあふ【思合】

[1] 〘他ハ四〙 互いにそれぞれ考える。皆一様に思う。
源氏(1001‐14頃)若紫「あさましう、『いかさまに』と思ひあへり」
[2] 〘自ワ五(ハ四)〙
① 互いに恋い慕う。恋し合う。
蜻蛉(974頃)下「みがくれのほどといふともあやめぐさなほしたからんおもひあふやと」
② 考えが一致する。考えがぴったり合う。
狂言記・三人百姓(1730)「『身どもがみたちも、これでおりやる』『そなたはどこぞ』『これはおもひあふた事じゃ、身共のみたちも是じゃは』」
③ 互いにいたわりあい、助けあう。
※俳諧・曠野(1689)員外「いりこみて足軽町の藪深し〈亀洞〉 おもひ逢たりどれも高田派〈釣雪〉」

おもい‐あわ・せる おもひあはせる【思合】

〘他サ下一〙 おもひあは・す 〘他サ下二〙
① いくつかの事を思いくらべて考える。あれこれと考え合わせる。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「深きこころ高きおもひも、もろもろの事をおもひあはせ」
② あれこれ考え合わせた結果ある点に思いつく。なるほどと思う。思いあたる。
大和(947‐957頃)一四八「この男〈略〉顔も声もそれなりけりとおもふに、思ひあはせて、わがさまのいといらなくなりにたるをおもひけるに」
平家(13C前)三「其時はなにとも覚えざりしか共、後にこそ思ひあはする事共も多かりけれ」

おぼし‐あわ・す ‥あはす【思合】

〘他サ下二〙 (「おもいあわせる(思合)」の尊敬語)
① 思いくらべてお考えになる。
※竹取(9C末‐10C初)「こと人よりはけうらなりとおぼしける人の、かれにおぼしあはすれば人にもあらず」
② あれこれ考え合わせた結果、なるほどとお思いになる。お思いあたりになる。
※源氏(1001‐14頃)帚木「くまなく見あつめたる人の言ひし事は、げにとおぼしあはせられけり」

おもい‐あわ・す おもひあはす【思合】

[1] 〘他サ下二〙 ⇒おもいあわせる(思合)
[2] 〘他サ五(四)〙 =おもいあわせる(思合)
※いさなとり(1891)〈幸田露伴九九「大概(あらまし)を聞けば聞くほど、〈略〉思ひ合す節の我が迷故か知らねど多く

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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