御食向(読み)みけむかう

精選版 日本国語大辞典 「御食向」の意味・読み・例文・類語

みけ‐むかう ‥むかふ【御食向】

(「みけ」は神や天皇の食事、食膳の意。「向う」は、食膳で種々の食物が向かい合っていること。一説に、主食に対するおかずの意とも) 食事の料としての物の名から、同音を含む地名にかかる。
① 「葱(き)」と同音を含む「城上宮(きのへのみや)」にかかる。
万葉(8C後)二・一九六「御食向(みけむかふ) 城の上の宮を 常宮と 定め給ひて」
② 「粟(あは)」と同音を含む「淡路(あはじ)」にかかる。
※万葉(8C後)六・九四六「御食向(みけむかふ) 淡路の島に ただ向ふ 敏馬(みぬめ)の浦の」
③ 鳥の名「䳑(あぢ)」と同音を含む「味原(あぢふ)」にかかる。
※万葉(8C後)六・一〇六二「聞く人の 見まく欲りする 御食向(みけむかふ) 味原の宮は 見れど飽かぬかも」
④ 貝の名「蜷(みな)」と同音を含む「南淵山(みなぶちやま)」にかかる。
※万葉(8C後)九・一七〇九「御食向(みけむかふ)南淵山の巖には降りしはだれか消え残りたる」

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