幸阿彌(読み)こうあみ

精選版 日本国語大辞典 「幸阿彌」の意味・読み・例文・類語

こうあみ カウアミ【幸阿彌】

室町時代以来、将軍家蒔絵(まきえし)家柄。初世の号幸阿彌を氏として、一九世まで続いた。
[一] 初世。旧姓土岐。名は道長(どうちょう)。通称四郎左衛門。足利八代将軍義政の近習となり、蒔絵を習得。能阿彌、相阿彌、土佐光信らの下絵を使って製作したという。応永一七~文明一〇年(一四一〇‐七八
[二] 五世。宗伯(そうはく)。三世宗全の二男。四世宗正の弟。作品に武藤家所蔵の「桜山鵲蒔絵硯箱(さくらさんじゃくまきえすずりばこ)」がある。文明一六~弘治三年(一四八四‐一五五七
[三] 六世。長清(ちょうせい)。五世の長男。朝廷の御用をつとめ、豊臣秀吉から天下一の称号を受けた。永正三~慶長八年(一五〇六‐一六〇三
[四] 七世。長晏(ちょうあん)。六世の長男。久次郎と称する。豊臣秀吉、のち徳川家康・秀忠に仕えた。後陽成天皇即位の調度に蒔絵を施した。永祿一二~慶長一五年(一五六九‐一六一〇
[五] 一〇世。長重(ながしげ)。七世の三男狩野探幽の下絵を使い、明正天皇即位の蒔絵調度を製作。作品に徳川家光の長女千代姫の婚礼調度「初音(はつね)蒔絵厨子棚」がある。慶長四~慶安四年(一五九九‐一六五一

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