日本大百科全書(ニッポニカ) 「幸宣佳」の意味・わかりやすい解説
幸宣佳
こうのぶよし
(1896―1977)
能楽師。幸(こう)流小鼓(こつづみ)方。熊本生まれ。和泉(いずみ)流狂言方の小早川精太郎の次男。本名靖二(せいじ)。1906年(明治39)上京、三須錦吾(みすきんご)に入門。翌年初舞台。のち三須平司、幸祥光(よしみつ)に師事。しかし24年(大正13)斯道(しどう)を離れ、宮本家へ入って上海(シャンハイ)へ渡り、一時帰国して舞台を勤めたこともあるが、第二次世界大戦敗戦まで同地に住んだ。戦後帰国し小早川姓に戻って斯道に復帰、51年(昭和26)より福岡に定住。58年幸流分家、信吉家を継承して幸宣佳を名のる。74年重要無形文化財保持者に認定。天分に恵まれ、中年までは鋭い芸質であったが、晩年は滋味あふれる境地に達した。
[小林 責]