平等院鳳凰堂壁扉画(読み)びょうどういんほうおうどうへきひが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平等院鳳凰堂壁扉画」の意味・わかりやすい解説

平等院鳳凰堂壁扉画
びょうどういんほうおうどうへきひが

天喜1(1053)年,関白藤原頼通建立,供養した平等院鳳凰堂(阿弥陀堂)の中堂内部四周に『観無量寿経』を主題に描かれた扉絵,板壁画。国宝。なかでも『九品来迎図』は正面左右,北面,南面の 4対の扉絵に,また『日想観図』は,西面扉に創建当初の図様をとどめている。画面は剥落や退色,落書きでそこなわれているとはいえ,仏菩薩(→菩薩)の華麗な来迎の様相を表し,四季の景趣を織り込んだ背景のやまと絵山水画とともに,11世紀絵画の数少ない基準作として日本独自の古典的様式の完成を今日に伝えている。阿弥陀供養図を描いたとされる本尊後壁板絵は,創建当初の扉絵とはやや画風が異なり,また室内両側壁の阿弥陀来迎図はおそらく鎌倉時代の後補と推定される。堂内は何度かの改変を経ており,現存する扉絵,壁画の制作時期も一様ではない。平等院鳳凰堂は当時の建築,彫刻,絵画の粋を凝らして営まれ,柱や斗栱も華麗な装飾文様や供養菩薩の姿で彩られている。

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