平泉‐仏国土(浄土)を表す建築-庭園及び考古学的遺産群(読み)ひらいずみぶっこくど〈じょうど〉をあらわすけんちくていえんおよびこうこがくてきいさんぐん

世界遺産詳解 の解説

ひらいずみぶっこくど〈じょうど〉をあらわすけんちくていえんおよびこうこがくてきいさんぐん【平泉‐仏国土(浄土)を表す建築-庭園及び考古学的遺産群】

2011年に登録された世界遺産(文化遺産)。2013年には、拡張申請のために再度、世界遺産国内暫定リストに記載された。日本列島の東北地方、岩手県南部に位置し、11~12世紀に栄華を誇り、浄土を夢見た奥州藤原氏ゆかりの遺跡として知られる。登録の対象となったのは、岩手県西磐井(にしいわい)郡平泉町にある中尊寺(ちゅうそんじ)、毛越寺(もうつうじ)、金鶏山、無量光院跡、観自在王院跡の5件。中尊寺金色堂(こんじきどう)には藤原4代の墓がある(3代との説もある)。また、これらに関連した4つの庭園は、浄土思想を表した理想郷の光景として造営された。日本独特の自然信仰である神道の影響を受けつつ定着した仏教、その思想に基づく建築や作庭の日本的な在り方を見ることができる。なお2012年8月に、世界遺産に登録された5物件に加え、柳之御所(やなぎのごしょ)遺跡、達谷窟(たっこくのいわや)、白鳥舘(しろとりたて)遺跡(奥州市)、長者ケ原廃寺(はいじ)跡(奥州市)、骨寺村(ほねでらむら)荘園遺跡(一関市)などを加えた拡張登録をめざすことが決定され、国内暫定リストに記載された。これらのうち柳之御所遺跡は、2011年の登録決定前に「浄土思想との関連性が希薄」として登録物件からの除外が決定され、その他は、2008年の登録延期決定後の再検討で、国際記念物遺跡会議ICOMOS)の評価で「文化的景観や浄土思想との結びつきなどに関して十分な説明ができていない」ということで除外された経緯がある。◇英名はHiraizumi-Temples, Gardens and Archaeological Sites Representing the Buddhist Pure Land

出典 講談社世界遺産詳解について 情報