市民記者(読み)しみんきしゃ(英語表記)citizen reporter

知恵蔵 「市民記者」の解説

市民記者

職業ジャーナリストではない一般市民がニュース記事を投稿し、掲載される仕組み。2000年2月に韓国で創刊されたオンライン新聞「オーマイニュース(OhmyNews)」が採用した方式で、記者会員として登録した市民がニュースを寄稿し、原稿料や読者からのカンパが支払われる。背景として、マスコミの報道が部分的あるいは一方的だとする批判、また、自ら情報を発信したり意見を表明したいとする市民の欲求があったと言われる。「オーマイニュース」が盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領政権の誕生に一役買うなど大きな社会的影響力をもったことから、市民記者の仕組みが注目された。韓国では、民間放送局でも市民記者制度を取り入れる試みが始まっている。この仕組みについては、スクープ発掘や職業ジャーナリストによるのとは違った問題の切り口などに評価がある半面真偽のあいまいさや内容の偏りの危険性が指摘されるが、市民記者からの寄稿には実名が求められ、寄稿内容について編集部における一定の検証・編集作業が介在している。また、政治経済分野など一般市民の取材が難しいところでは、市民記者が活躍しにくいとする評価もあり、「オーマイニュース」の場合も基本的な記事の多くはなお職業記者によって作成されている。日本でも、「livedoor ニュース」などで市民記者の試みがなされてきたが、06年8月に、鳥越俊太郎を編集長として市民記者制度を中心に据えた「オーマイニュース(日本版)」がスタートした。

(浜田純一 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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