日本大百科全書(ニッポニカ) 「市川三郷(町)」の意味・わかりやすい解説
市川三郷(町)
いちかわみさと
山梨県中部、西八代郡(にしやつしろぐん)にある町。2005年(平成17)同郡三珠町(みたまちょう)、市川大門町(いちかわだいもんちょう)、六郷町(ろくごうちょう)が合併して成立。町域は甲府(こうふ)盆地の最南西端、笛吹(ふえふき)川と釜無(かまなし)川に芦(あし)川が合流し、富士川となる地点の南東部に広がり、南東部には御坂(みさか)山地がせまる。JR身延(みのぶ)線、国道140号、358号が通じる。中世、常陸(ひたち)国武田から移り住んだともいう源義清(みなもとのよしきよ)(武田冠者)らが土着、当地は甲斐源氏発祥の地となった。のちに特産となる和紙は戦国期すでに武田氏によって保護されている。武田家火術師の伝統を引く花火製造は江戸時代中期から盛行。農業は、東部では曽根(そね)丘陵の大塚がニンジンの産地として名高く、また、ブドウ、モモ、キウイフルーツなどの果樹や、トウモロコシ、野沢菜の栽培も盛ん。六郷地区では昭和初期から、それまでの足袋(たび)製造業に変わって甲州産水晶を材料に印章業が発展。現在では全国生産の約5割を占め、「日本一のはんこの町」として知られる。印章祭も開催され、印章資料館もある。曽根和紙は障子紙では全国でも有数の生産がある。花火は打ち上げ花火を中心に製造され、8月の神明(しんめい)の花火大会は広く知られ、多くの観光客を集めている。御坂山地中腹にある四尾連湖(しびれこ)畔には山荘やキャンプ場などが整備される。面積75.18平方キロメートル、人口1万4700(2020)。
[編集部]