川内(村)(読み)かわうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「川内(村)」の意味・わかりやすい解説

川内(村)
かわうち

福島県浜通り中部、双葉郡(ふたばぐん)にある村。阿武隈高地(あぶくまこうち)の農山村で、村域の約87%(1万7316ヘクタール)が山林であり、そのうち村有林が8203ヘクタールを占める。かつては林業が栄えたが現在は縮少し、シイタケ山菜の栽培が行われる。村の中央を南流する木戸川沿岸では農耕が行われ、近年は畜産稲作が盛ん。ほかに高原野菜、ソバにも力を入れている。チップ、機械、縫製などの工場も立地する。中心地区は上川内で国道399号が通じ、県指定重要無形民俗文化財に川内の獅子舞(ししまい)がある。また名誉村民の詩人草野心平が寄贈した蔵書からなる天山文庫(てんざんぶんこ)や、古民芸品などを展示した阿武隈民芸館がある。国指定天然記念物に平伏沼モリアオガエル繁殖地(へぶすぬまもりあおがえるはんしょくち)があり、西部の大滝根山(1192メートル)は阿武隈高原中部県立自然公園の一部をなす。面積197.35平方キロメートル、人口2044(2020)。

原田 榮]

〔東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では死者99人、住家全壊8棟・半壊568棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。あわせて東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染によって避難指示区域(のちに避難指示解除準備区域居住制限区域帰還困難区域再編)となったが、2016年までに避難指示は解除された。なお、2018年9月1日時点で、917世帯・2165人が帰還したが、512人(うち県外135人)がいまだに避難生活を送っている(ふくしま復興ステーション)。

[編集部 2019年10月18日]

『『川内村史』3巻・別巻1(1988~1992・川内村)』


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