岩科村(読み)いわしなむら

日本歴史地名大系 「岩科村」の解説

岩科村
いわしなむら

[現在地名]松崎町岩科南側いわしななんそく岩科北側いわしなほくそく

南郷なんごう村の南、岩科川中流域に位置する。平城宮跡出土木簡(「平城宮木簡概報」一七―一四頁、「平城宮木簡」三―三一九七)にみえる「那賀郡射鷲郷和太里」「那可郡和志郷庭料里」を当地に比定し、和太里を小字和田わだにあてる説もある。現峰輪みねわにある箕勾みのわ神社の延慶元年(一三〇八)一一月の棟札に「小工岩品郷住人捨次郎」とみえる。康暦二年(一三八〇)一月二四日岩科郷の「出塵庵」で大般若経(現南伊豆町普照寺蔵)の巻一七一が書写され、また巻一七四―一八〇なども同庵で書写されている。現南伊豆町蛇石じやいしにある三島神社の宝徳元年(一四四九)九月の棟札によると、岩科郷代官の清右衛門が大旦那として社殿を修理している。現石部いしぶにある伊志夫いしぶ神社の天文一二年(一五四三)八月二四日の棟札にも上葺奉加帳のなかに岩科住人がみえる。国柱命くにはしらみこと神社には天文一一年一二月・同二二年九月・天正九年(一五八一)一一月二五日の棟札があり、岩科郷の地頭と思われる朝比奈氏、代官山中氏、神社造営の主体と考えられる本願佐藤氏、政所屋渡辺氏、役人中村氏、総意見中村・田中両氏などが記され、郷内有力農民の指導により造営が実現されたことがうかがえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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