岩殿観音(読み)いわどのかんのん

日本歴史地名大系 「岩殿観音」の解説

岩殿観音
いわどのかんのん

[現在地名]飯能市坂元

双木なみき山中にある。坂石町分さかいしまちぶんの曹洞宗法光ほうこう寺が管理し、奥院の岩窟内にある石龕(観音窟石龕)は県指定史跡。「風土記稿」は観音窟について「穴口高サ二三間、幅二間許、奥行七間許、(中略)其中程ニ石龕アリ、縦三尺、横二尺、高五尺許、石板ヲモテ造リ、其前ニ石門ト称シ、同ク石板ヲモテ門ノ形ヲナス、其中文ヲ刻スルモノ一枚アリ」と記す。現在この石龕の扉は法光寺に蔵され、銘文に貞和二年(一三四六)年紀とともに、「武州秩父吾那瑞岩禅寺」の寺名がみえる。また銘文によれば、この年聖僭妙心を大檀那とし、比丘無灯(元灯とも)らの勧進によって造立されたことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報