山県用水(読み)やまがたようすい

日本歴史地名大系 「山県用水」の解説

山県用水
やまがたようすい

武儀むぎ川より取水した近世灌漑用水。井口は上流筋の跡部あとべ(現武儀郡武芸川町)地内で、幅八間・高さ二尺に堰立て、井溝の長さ八〇〇間(享保六年「三輪村高反別指出帳」後藤文書)。これを利用した一四村は三輪みわ村・宮之上みやのうえ村・北野きたの村・いわ村・太郎丸たろうまる村・中屋なかや村・世保よやす村・古市場ふるいちば村・門屋かどや村・おち村・石原いしはら村・福富ふくとみ村・溝口みぞぐち村・もり村で、享保六年(一七二一)当時幕府領五千三〇九石余・私領二千九四八石余の耕地を潤した(同文書)。なお井水神は三輪の三輪神社。

井組一四村が用水を管理し配分する定法を九半の法または九半の割とよんだ。これは三輪神社の神事を上頭組九村・下頭組五村に分けて勤めていたことに関連する。その具体的な用水費用の負担割合などは未詳だが、これが古法とすれば、新法は寛文三年(一六六三)以後採用されたものである(「覚帳」後藤文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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