尻暗観音(読み)しりくらいかんのん

精選版 日本国語大辞典 「尻暗観音」の意味・読み・例文・類語

しりくらい‐かんのん ‥クヮンオン【尻暗観音・尻食くらひ観音】

〘名〙
① 六観音縁日陰暦の一八日から二三日までの間で、そのあとはしだいに闇夜になることを「尻暗い」に当て、観音菩薩をいう。転じて、「尻食らえ」とののしる気持をこめて、窮したときは観音を念じるが、良くなると受けた恩を忘れてかえりみないこと。または、自分に都合のよい事をしおえると、あとは知らん顔をしていることにいう語。しりくらえかんのん。しりくらい。
仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)二「三十三身の外に、昔より尻くらひくんをんとてこれ有」
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「大人(たいじん)などとの空拝は早く書てもらひたさ。尻食観音(シリクラヒクヮンオン)やら、呉音で先生(ぜぜう)とやらかすも金が欲さの尊称なり」
女郎や陰間の尻。また、女性の陰部をさしていう。
※洒落本・客者評判記(1780)若衆形之部「壱寸八分のしりくらいくゎんおんのぞうをいだし、兄弟の名のりをなし」
[補注]①については一説に、京都の清水観音堂は暗い後堂から出入りするところから出た語ともいう。

しりくらえ‐かんのん ‥クヮンオン【尻暗観音・尻食くらへ観音】

※玉塵抄(1563)四〇「尻くらえ観音と云やうなことぞ」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)五「さて本腹(ほんぶく)させて後は、尻喰(シリクラ)へ観音(クンヲン)ぢゃ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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