小戸庄(読み)おべのしよう

日本歴史地名大系 「小戸庄」の解説

小戸庄
おべのしよう

川辺かわべ郡内に成立した庄園。雄家おべ庄とも記し、古代の同郡雄家郷(和名抄)の郷名を継承したものとみられる。文治二年(一一八六)四月八日の醍醐寺文書目録(醍醐雑事記)に「一結津国雄家庄文書」がみえる。平安期、山城醍醐寺領雄家庄が成立していたが、同目録で未沙汰文書櫃に入れられていることから、その支配は有名無実となっていたのであろう。徳治三年(一三〇八)九月二七日の狩野茂光施行状(多田神社文書)に「小戸庄内荒尾并賀茂村」とあり、多田ただ院雑掌の申状に対して陳弁するよう道明房に申渡しているので、多田院がなんらかの影響を及ぼしていたこと、庄内の村をめぐる相論があったことが知られる。

正中二年(一三二五)閏正月日の小戸庄地頭代覚円申状(武田健三氏所蔵文書)によれば、当庄の領家は山門檀那院僧正、地頭は岡部好禅であった。領家預所弁房と当庄名主源八らが、弁房の兄多田院政所代土肥孫九郎や多田院御家人らと徒党を組み、庄内栄根さかね村にある地頭居所を襲って刃傷・強盗放火に及んだと地頭代は訴えている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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