富益郷(読み)とみますごう

日本歴史地名大系 「富益郷」の解説

富益郷
とみますごう

上総国馬野まの郡の郷村で、養老ようろう川河口左岸一帯に比定される。応永期(一三九四―一四二八)と推定される馬野郡惣勘文(覚園寺文書、以下同文書)に「富益九丁二反半」とあり、うち除田・寺田などを引いた残りが三丁六反余。この九丁二反半は公田で、文永一二年(一二七五)に不審があったが、正応年中(一二八八―九三)に安堵されたもので(馬野郡郡本富益両郷公田数覚書)、除分として国衙の鎮守社と思われる神守公神、国分寺広禅こうぜん寺の寺田、そして在庁給・地頭給などが含まれている。応永八年七月一六日の馬野郡富益郷目録にみえる郷内の「くにみつ名」「あさ山村」「のけの村」が市原市の迎田むかえだ国光、同今津朝山いまづあさやま、同野毛のげに比定され、同九年の富益郷未進年貢注文の「かしわ原名」が同柏原かしわばらに比定されることから、養老川河口のこれら沖積平野一帯の地域と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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