安威郷(読み)あいごう

日本歴史地名大系 「安威郷」の解説

安威郷
あいごう

和名抄」高山寺本・東急本ともに「阿井」と訓ずる。安威の地名は、「日本書紀」雄略天皇九年二月条の「三島郡の藍原あいのはら」、同継体天皇二五年一二月条の、天皇を「藍野陵に葬る」(「古事記」には「三島之藍陵」とある)、「延喜式」(諸陵寮)の三島藍野陵などの記事にみえる藍野と同一である。また「延喜式」神名帳の島下郡には阿為あい神社があげられている。安威川が北摂山地を離れて淀川右岸沖積平野に流下する山麓線に茨木いばらき市の安威地区が位置し、阿為神社が鎮座する。したがって安威郷の位置に関してはこの安威を中心とすることは確実であり、安威の南の十日市とおかいち耳原みのはら(現茨木市)、安威川左岸の太田おおだ(現同上)などをも包括するとみられる。「新撰姓氏録」(摂津国神別)に「中臣藍連、同神(天児屋根命)十二世孫大江臣之後也」とあり、阿為神社は中臣氏の祖神天児屋根命を祀るので、中臣藍連氏の本貫がこの安威郷であったことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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