姿勢偏差(読み)しせいへんさ(英語表記)orientational deviation

改訂新版 世界大百科事典 「姿勢偏差」の意味・わかりやすい解説

姿勢偏差 (しせいへんさ)
orientational deviation

機械加工部品が形をなすためには,その構成要素である線,面そのものの形体の狂い,すなわち形状偏差のほかに,それら形体の相互間の関係を問題とすることも多い。機械加工を行うとき,例えば部品のある平面を基準として加工の方向や姿勢を決めて対象とする面を加工し,測定では,その基準とした平面をもとに対象とする面の方向や姿勢の狂いを求めている。その基準を図面で指示するとき,理論的に正確な幾何学的基準を考える。これをデータムdatumと呼ぶ。そのデータム直線,またはデータム平面に対して理論的に正確な方向・姿勢にある直線,または平面からの対象とする直線形体,または平面形体の狂いの大きさを姿勢偏差という。姿勢偏差には平行度,直角度傾斜度がある。形状偏差と同様に最小領域法による対象とする形体の占める領域の大きさ,すなわち領域の上側と下側を形成する2面の間隔を長さの単位で表示している。姿勢偏差の許容値を姿勢公差,同様にそれぞれを平行度公差,直角度公差,傾斜度公差という。関連形体の偏差には姿勢偏差のほかに位置偏差と振れがある。位置偏差には,理論的に正確な位置からの狂いの大きさを表す位置度,直径の異なる円筒のいくつかで成立する丸軸などで,データム軸線に対する同一直線上にあるべき軸線の狂いの大きさを表す同軸度,同様に薄物に適用する同心度,対称であるべき形体の狂いの大きさを表す対称度がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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