ごとく‐なり【如也】
〘助動〙 (活用は「ごとくなら・ごとくなり(ごとくに)・ごとくなり・ごとくなる・ごとくなれ・ごとくなれ」)
助動詞「ごとし」の
連用形に「に」のついた「ごとくに」に、さらに「あり」のついた「ごとくにあり」の変化したもの。「ごとし」の補助活用的性格を持つ。…のようである。
※
古今(905‐914)
仮名序「あまぐもたなびくまで、おひのぼれるごとくに、このうたも、かくのごとくなるべし」
※
今昔(1120頃か)七「
仏法を弘め正教を翻訳する事心の如く也」
[
語誌](1)「ごとし」に
断定の助動詞「なり」が複合したものであるが、「なり」の
接続からいって「ごときなり」となるべきところを「ごとくなり」となるのは、「ごとくにあり」に由来したためと考えられている。
(2)「
今昔物語」にはこの助動詞が多用されているが、他に「ごときなり」「ごとしなり」の語形も見える。これについて、「ごときなり」は漢文調の
文脈、「ごとくなり」は和文調の文脈と使い分けられているという説もあるが、実際の現われ方は、「ごとくなり」が全活用形を具備するのに対して、「ごときなり」「ごとしなり」は
終止形のみという違いがあり、単純には割り切れない。→「
ごとし(如)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報