奇跡・奇蹟（読み）きせき

精選版 日本国語大辞典

き‐せき【奇跡・奇蹟】

〘名〙

① 常識では考えられないような神秘的な現象。神の示す思いがけない力。また、それの起こった場所。

※交隣須知（１８Ｃ中か）四「マコトニ キセキチャ」

※火の柱（1904）〈木下尚江〉五「山木見たいな爺(おやぢ)に梅子さんのあると云ふは、君、正に一個の奇跡だよ」 〔陸機‐漢高祖功臣頌〕

② キリスト教で、出来事または行ないの中に働く超自然的な聖なる力の具体的表現をいう。信仰者はそれによって、神の啓示の何たるかを知る。

※真理一斑（1884）〈植村正久〉三「基督教の奇蹟は信ずべきの明証なり」

[補注]漢籍に出典のある語だが、①の近代以降の例は、②のキリスト教における「奇跡」の影響下にあると思われる。

出典　精選版 日本国語大辞典