太郎山(読み)たろうやま

日本歴史地名大系 「太郎山」の解説

太郎山
たろうやま

上田盆地の北側に屏風のように立つ標高一一六四メートルの山。南は上田盆地を一望に収める。山頂東方指呼の間に東太郎山が立ち、両山の間には黄金沢こがねざわの渓谷が南北に延びる。西方は峰つづきに虚空蔵こくぞう山が立っている。

頂上に太郎山神社がある。祭神は伊邪那岐尊・伊邪那美尊・稚産霊神。建久八年(一一九七)国内大旱の災いあるにあたり勧請し、旱魃のある時は、この社に雨を祈ったと伝えている(上田町誌)。明和七年(一七七〇)の大旱魃の時は、小県ちいさがた郡における水分神四山である烏帽子えぼし岳・冠者かじや岳・奈良尾富士ならおふじ・太郎山で千駄焼を行っている(小県郡年表)。太郎山南山麓・中腹一帯には東より花古屋はなごや城・牛伏うしぶせ城・あら城・矢島やじま城・和合わごう城など数多くの山城が築かれており、中世より戦国期にかけ、東信濃と北信濃の土豪の勢力圏の接点にある城砦として重要であった。

太郎山
たろうさん

男体山北方、大真名子おおまなご山・小真名子こまなご山の西方にあり、塩谷郡栗山くりやま村との境に位置する。標高二三六七・五メートルの溶岩円頂丘火山。西方西にし峰は小太郎こたろう山ともよばれる。山頂近くの火口原直径一五〇メートル、周囲四〇〇メートル、一部湿地で、ウサギギクハクサンチドリ、クルマユリなどがみられ、お花畑と通称される。南斜面のしん薙は難所となっている。古くから日光三社権現の一つ本宮ほんぐう神社の神体山とされ、山頂には本宮神社と同じく味耜高彦根命を祭神とする太郎山神社が祀られている。日光修験の入峰の行場の一つで、補陀洛夏峰では小真名子山から当山・寒沢さむさわ宿を経て大真名子山へ向かう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太郎山」の意味・わかりやすい解説

太郎山
たろうざん

栃木県西部,戦場ヶ原北部にそびえる火山。標高 2368m。トロイデ型の火山で,主として第四紀石英安山岩より成る。山頂には直径約 200mの円形の火口跡があり,湿原で夏にはハクサンチドリなどの花畑となる。

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世界大百科事典(旧版)内の太郎山の言及

【男体山】より

…二荒(ふたら)山,日光山,黒髪山ともいう。北東には大真名子(おおまなご)山(2375m),小真名子山(2323m),女峰(によほう)山(2464m),赤薙(あかなぎ)山(2010m),北西には太郎山(2368m),山王帽子(さんのうぼうし)山(2085m)が連なり,戦場ヶ原,湯ノ湖を隔てた白根山(日光白根)などとともに日光火山群を形成する。うち男体,女峰,太郎の三つの山は日光三山(広義の日光山)とも呼ばれる。…

※「太郎山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」