天叟寺(読み)てんそうじ

日本歴史地名大系 「天叟寺」の解説

天叟寺
てんそうじ

[現在地名]岩国市黒磯町二丁目

天叟寺はもと真言宗で光明こうみよう寺と号したが、慶長九年(一六〇四)黒磯くろいそ村が今田中務領地となった際、中務は光明寺を曹洞宗に改めて父経高の菩提寺とし、寺領五石を寄付して正運庵しよううんあんと号した。のち延宝(一六七三―八一)頃に天叟寺と改号。山号は慧日山、本尊聖観音

この天叟寺に観音堂があり、その縁起が「玖珂郡志」に紹介されている。漁師の喜左衛門なる者の網に観音の石像がかかり、喜左衛門は海中に投じたが、同じようなことが三度も起こり、「一夜夢中告曰、我入汝網現於世、欲益衆生、我是観音石体、後日入網、可陸地、次日下網、石像又懸」、そこで茅葺の堂を作って安置したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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