大連(おおむらじ)(読み)おおむらじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大連(おおむらじ)」の意味・わかりやすい解説

大連(おおむらじ)
おおむらじ

大和(やまと)国家の最高執政官。雄略(ゆうりゃく)朝から用明(ようめい)朝まで、大臣(おおおみ)と並んで庶政を総轄した。『日本書紀』では垂仁(すいにん)朝の物部十千根(もののべのとおちね)を大連とするのが初見であるが、史実性は疑わしい。雄略朝の大連に大伴連室屋(おおとものむらじむろや)、物部連目(め)が任じられて以来、大和国家の軍事を指揮した伴造(とものみやつこ)としての大伴、物部両氏から世襲的に任じられた。しかし、6世紀中葉に大連大伴連金村(かなむら)が任那(みまな)問題によって失脚すると、以後物部氏が大連を独占した。ところが、大連物部連尾輿(おこし)の後を継いだ守屋は、しだいに大臣蘇我臣稲目(そがのおみいなめ)との対立を深め、ついに587年に蘇我氏によって滅ぼされた。このあと大連は任じられなかった。

門脇禎二]

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