大空・大虚(読み)おおぞら

精選版 日本国語大辞典 「大空・大虚」の意味・読み・例文・類語

おお‐ぞら おほ‥【大空・大虚】

[1] 〘名〙 (「おおそら」とも)
① 広々とした空。空をその広大なところからいう美称。
万葉(8C後)一〇・二〇〇一「蒼天(おほぞら)ゆかよふ吾すら汝が故に天の河道(かはぢ)をなづみてぞ来し」
※百法顕幽抄平安中期点(900頃)「空(オホソラ)の翠き相ひ暎りて、濃淡色を分てり」
上代、天(高天原(たかまがはら))と地(現実の国土)との中間をさしていう。虚空。
※水戸本丙日本紀私記(1678)神武「太虚也 乎保曾良」
[2] 〘形動〙
① 平凡。なおざりなさま。おおぞう
※宇津保(970‐999頃)国譲下「いかでか、さおほぞらには思ひてここにありや」
② 茫然としたさま。
御伽草子・物くさ太郎(室町末)「しばしは呆れて肝魂(きもたましゐ)も身にそはず、秋の夜に夢みる心ちして、おほぞらなるけしきにておはしけるが」
[補注](二)①の「宇津保」の用例は、「おほぞう」とする写本、板本もある。→おおぞう

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