大峰山寺境内(読み)おおみねさんじけいだい

国指定史跡ガイド 「大峰山寺境内」の解説

おおみねさんじけいだい【大峰山寺境内】


奈良県吉野郡天川村大嶺山頂にある寺院。奈良県南部の大峰山脈北部の主峰である標高1719mの山上ケ岳山頂に所在。山上ケ岳は、古来「金峯山」とも呼ばれ、吉野から奥駈道などで通じ、修験道の聖地として信仰を集めてきた山で、平安時代前期から、清和天皇・宇多上皇や藤原道長などの皇族貴族が参詣したことで知られる。1983年(昭和58)~1986年(昭和61)に大峰山寺本堂の解体修理にともなって発掘調査が実施された結果、平安時代初期にはすでに本堂の建物があり、その後いくどかの火災に遭っていることが確認され、2体の黄金仏をはじめ山岳信仰に関わる多くの遺物が出土した。2002年(平成14)に国の史跡に指定された。2004年(平成16)には「紀伊山地霊場と参詣道」として、世界遺産に登録された。なお、江戸期から明治・大正期にかけて多数の遺物が発見された金峯山経塚は、蔵王権現が現れたと伝えられる山頂の湧出岩に続く北斜面一帯と考えられている。出土した経箱・経筒・紙本経・銅板経・神仏像などは、いずれも国宝や重要文化財に指定されている。山上ケ岳山頂は高100mに及ぶ急な崖になっていることから、山頂の巨岩などを巧みに取り入れ、修験の行場が設けられ、境内には大峰山寺護持院の宿坊も建てられている。近畿日本鉄道吉野線下市口駅から奈良交通バス「洞川温泉」下車、徒歩約4時間。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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