大丸(株)(読み)だいまる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大丸(株)」の意味・わかりやすい解説

大丸(株)
だいまる

大手の百貨店。1717年(享保2)京都伏見(ふしみ)に下村彦右衛門(しもむらひこえもん)(1688―1748)が創業した呉服商大文字屋が発祥。「現金掛値なし」の商法で繁盛し、享保(きょうほう)年間(1716~36)に早くも京都店を総本店として大坂・名古屋・江戸に店を構え、江戸時代を通して豪商下村大丸として知られた。明治維新を経て1908年(明治41)東京を本店とし株式合資会社大丸呉服店を設立したが、まもなく経営に波乱が起こり、東京・名古屋の両店を閉鎖し、京阪神を中心に百貨店の形態を整えた。1920年(大正9)株式会社に改組、28年(昭和3)大丸と改称した。第二次世界大戦後の1954年(昭和29)東京駅八重洲(やえす)口駅ビルに開店したのを契機に急成長し、60年には百貨店業界第1位を占めるに至った。以後国内の主要都市や海外に進出し、スーパーマーケット、レストランなどにも事業を展開。1980年代にはクレジット事業、通信販売事業を始める。1995年(平成7)に三越(みつこし)と商品提携を結ぶ。2003年海外事業から撤退。2007年9月には大手百貨店松坂屋子会社にもつ松坂屋ホールディングスと経営統合、共同持株会社J.フロント リテイリング(以下J社)を設立、大丸と松坂屋ホールディングスはその子会社となる。なお、同年11月に松坂屋ホールディングスはJ社に吸収合併されて解散。松坂屋はJ社の直接子会社となった。大丸の資本金203億円(2008)、売上高8459億円(2008。連結ベース)。直営店、関係百貨店18店。

[森 真澄

『株式会社大丸編・刊『大丸二百五拾年史』(1967)』


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