地球防衛会議(読み)チキュウボウエイカイギ(英語表記)Planetary Defense Conference

デジタル大辞泉 「地球防衛会議」の意味・読み・例文・類語

ちきゅう‐ぼうえいかいぎ〔チキウバウヱイクワイギ〕【地球防衛会議】

ピー‐ディー‐シーPDC

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知恵蔵 「地球防衛会議」の解説

地球防衛会議

世界各国から研究者らが集まり、宇宙から接近した天体地球衝突する可能性や、衝突した際の対応などについて議論する国際会議。2004年に米アナハイムで始まった。09年からは、宇宙関連の研究者らで構成する国際宇宙航行アカデミー(IAA)が主催し、隔年で開催している。
宇宙の火星と木星の間には多くの小惑星が漂っている。これらは引力の影響などで小惑星の軌道が変化すると、地球に接近してくることもある。小惑星の衝突は、地球に甚大な被害を及ぼす。13年、ロシア・チェリャビンスク近郊に大きさ十数メートルの隕石が落下した際は、多くの負傷者が出た。約6500万年前に恐竜が絶滅したのは小惑星の衝突が原因だという説もある。
このような事態を事前に察知するため、世界各地で地球と衝突する可能性がある天体を探す取り組みが進められており、17年までに、地球の近くに約1万6000個の警戒すべき小惑星が見つかった。これらの小惑星は、軌道の計算などによって今後数十年ないし100年程度は地球にぶつからないと確認されたが、まだ発見されていない小惑星も多いと推測されている。
地球防衛会議では、地球に小惑星が接近しているという想定で、研究者らが、衝突する可能性のある場所の特定や、周辺住民らへの避難の呼びかけなど情報伝達の方法、人工物を小惑星にぶつけて軌道を変えるといった衝突回避策などについて話し合う。17年に日本で開催された会議では、直径100~250メートルの小惑星が、日本上空を通過するという想定で議論が行われた。19年4月末から5月初めにかけて米メリーランド州で開かれた会議では、地球に衝突する可能性がある直径100~300メートルの小惑星が発見されたという想定に基づき、研究者らが対応策をシミュレーションした。

(南 文枝 ライター/2019年)

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