20世紀日本人名事典 「團 伊玖磨」の解説
團 伊玖磨
ダン イクマ
昭和・平成期の作曲家,指揮者,随筆家 日本中国文化交流協会会長;神奈川芸術文化財団理事長。
- 生年
- 大正13(1924)年4月7日
- 没年
- 平成13(2001)年5月17日
- 出生地
- 東京府豊多摩郡原宿村(現・東京都渋谷区)
- 学歴〔年〕
- 東京音楽学校(現・東京芸術大学)作曲科〔昭和20年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 毎日演劇賞〔昭和25年〕「夕鶴」,毎日音楽賞〔昭和27年〕「夕鶴」,伊庭歌劇賞〔昭和27年〕,山田耕筰作曲賞〔昭和27年〕,ブルーリボン賞(音楽賞)〔昭和32年〕「雪国」「メソポタミア」,日本芸術院賞〔昭和40年〕,読売文学賞〔昭和42年〕「パイプのけむり」,芸術選奨文部大臣賞〔昭和47年〕「ひかりごけ」,NHK放送文化賞(第41回)〔平成1年〕,神奈川文化賞〔平成2年〕,国際交流基金賞〔平成10年〕,文化功労者〔平成11年〕
- 経歴
- 東京音楽学校在学中は山田耕筰、下総皖一、諸井三郎らに師事。昭和21年NHK専属作曲家となり劇伴音楽やラジオ歌謡で活躍。25年「交響曲第1番イ調」がNHK創立25周年記念管弦楽懸賞に特選入選し、脚光を浴びる。のち作曲家の芥川也寸志、黛敏郎と“三人の会”を結成、商業主義に対抗しながら様々な活動を展開した。27年オペラ「夕鶴」が毎日音楽賞など数々の賞を受賞。同作品は国内だけでなく、外国の訳詞で欧米や中国などで600回以上上演され、日本の創作オペラ運動の一里程標となった。平成9年新国立劇場のこけら落としで「建・TAKERU」を上演。また昭和34年天皇、皇后両陛下のご成婚時に「祝典行進曲」を、平成5年の皇太子殿下、雅子妃殿下のご成婚時には「新祝典行進曲」を作曲、結婚の儀当日のパレードで演奏された。自作品を中心に指揮者としても活動。作品は、交響曲、管弦楽曲、歌曲、合唱曲、映画音楽など広い範囲にわたるが、主力はオペラで、代表作に「ききみみずきん」「楊貴妃」「ひかりごけ」「素戔嗚」、管弦楽組曲「シルクロード」、交響幻想曲「万里長城」、童謡「ぞうさん」「おつかいありさん」「やぎさん ゆうびん」など。一方、随筆家も活躍。パイプを離さない愛煙家で昭和39年から36年間に渡り「アサヒグラフ」にエッセイ「パイプのけむり」を連載。他に「音楽紀行」「朝の国、夜の国」「エスカルゴの歌」などがある。中国との文化交流にも力を注ぎ、9年日中文化交流協会会長に就任。ベストドレッサーに選ばれるダンディーな作曲家として茶の間に親しまれた。13年5月日中文化交流のため訪れた中国の病院で死亡した。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報