(読み)すすり

精選版 日本国語大辞典 「啜」の意味・読み・例文・類語

すすり【啜】

〘名〙 (動詞「すする(啜)」の連用形名詞化)
① 汁などを口に吸いこむこと。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「『仲忠が心ざしと御湯きこしめせ』と、なくなくきこえ給へば、ひとすすり参る」
② 垂れた鼻水を息とともに鼻から吸いこむこと。
※書陵部本雅兼集(1135頃)「はなをだにすすりもえせぬわれが身にいかにそへつるこひのなみだぞ」
③ すすり泣くこと。
馬鈴薯の花(1913)〈中村憲吉〉明治四四年「真悲しきこころに堪へず面伏せば風の歔欷(ススリ)に草のなげきよ」

すす・る【啜】

〘他ラ五(四)〙
① 音をたてて液汁を口に吸い入れる。飲み入れる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「『まづこの粥すすりてん』とて、〈略〉杯どもによそひて、皆参る」
※宇治拾遺(1221頃)一「芋粥すすりて、舌打ちをして、あはれ、いかで芋粥にあかむと云ければ」
② 垂れた涙や鼻水を息とともに吸いこむ。
※斯道文庫本願経四分律平安初期点(810頃)「此に在りて涕(はなスス)り泣き、涙を流して立てり耶」

すすろ・う すすろふ【啜】

〘他ハ四〙 (動詞「すする(啜)」に動作の継続・反復を表わす上代助動詞「ふ」が付いたものが変化して、一語となったもの) つづけざまにすする。
万葉(8C後)五・八九二「風雑り 雨降る夜の 雨雑り 雪降る夜は 術もなく 寒くしあれば 堅塩(かたしほ)を 取りつづしろひ 糟湯酒(かすゆざけ) うち須須呂比(ススロヒ)て」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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