唐丹村(読み)とうにむら

日本歴史地名大系 「唐丹村」の解説

唐丹村
とうにむら

[現在地名]釜石市唐丹町

気仙けせん郡の北東端に位置する仙台藩領の村で、北は盛岡藩閉伊へい平田へいた村、東は海に臨み、ほぼ東流する熊野くまの川が唐丹湾に注ぐ。吉浜よしはま村・越喜来おきらい村・綾里りようり(現気仙郡三陸町)とともに仙台藩領気仙郡の奥四ヶ浜の一つに数えられ、慶長一六年(一六一一)一〇月二九日、イスパニヤ使節セバスチャン・ビスカイノ一行は吉浜湾に船を乗入れ一泊した。一行中の航海士ロレンソ・バスケスと書記アロンゾ・ガスコンの二名が北方を望んで良港のあることを発見し、唐丹湾をガスコンと命名した(金銀島探検報告)。吉浜方面から浜街道が北上し、鍬台くわだい峠から下荒川しもあらかわに下って熊野川を渡る。道はくま峠越と清水しみず峠越があるが、天保四年(一八三三)清水峠越が開かれると、一方の利用は減少した。両道片岸かたぎし川に至る前に合流、さくら峠を経て本郷ほんごうに入り、石塚いしづか峠を経て平田方面へ通じる。元禄一一年(一六九八)の「仙台領道程記」によると、石塚峠境まで三二町四四間、うち坂二つ、桜峠五町・唐丹坂一五町、一里いちり山より石塚峠まで五町四四間。

正保郷帳に村名がみえ、田九五一文・畑三四貫五六七文。元禄一一年の「気仙郡古記」によれば高三五貫余のうち六九一文は新田、制札六枚。宝永二年(一七〇五)人数改によれば人数一千六四三、うち塩煮(製塩)五四四、鉄砲数一六(気仙史料)。「封内風土記」では家数約二二八、駅場で市店がある。字名として大石おおいし・荒川・小白浜こじらはま片岸・旧唐丹・花路辺けろべ・山谷地がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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