咽頭がんでの注意点

六訂版 家庭医学大全科 「咽頭がんでの注意点」の解説

咽頭がんでの注意点
(のどの病気)

 上咽頭(じょういんとう)がんは多様な症状を示すので、内科眼科外科などを受診し、診断がつかないうちに耳や鼻の症状が出てきて初めて耳鼻咽喉科を受診して診断されることがしばしばあります。

 眼の症状としては物が二重に見える複視(ふくし)が最も多く、内科的にはがんこな頭痛、舌がもつれてろれつが回らないなどの症状があります。また、頸部(けいぶ)がはれてきて内科や外科でリンパ節炎として治療されることもあります。このように多様な症状が現れるので注意が必要です。

 中咽頭(ちゅういんとう)がんでは咽頭痛や嚥下痛(えんげつう)が多く、扁桃腺(へんとうせん)頸部がはれているのでかぜと間違えられることがあり、注意が必要です。頸部のみがはれているのでリンパ節炎と診断され、治療を行っても、リンパ節が小さくならなかったり、逆に大きくなるような場合があります。注射針を刺して細胞の検査を行い、がんの転移と診断されることがあります。

 下咽頭(かいんとう)がんは食道がんとの合併が多く、それも同時期に発病することがほとんどです。したがって下咽頭がんが診断されたならば、必ず食道内視鏡検査を行う必要があります。しかし、下咽頭の狭窄(きょうさく)が強くて内視鏡が通らない場合もあります。そのような場合は、食道造影検査で大きな腫瘍がないかをチェックすることになります。

 放射線照射後に手術をする場合には、放射線照射後ならば内視鏡が通ることがあるので、再度検査をしておくことが大切です。食道内視鏡検査ではルゴール染色を行って、肉眼では見落としてしまうような小さながんを見つけることもできるので、必ずルゴールで染めて食道を診てもらうことが大切です。またNBI(狭域帯)内視鏡での検査も、小さいがんを見落とすことなく診断できるので非常に有用です。

 一方、食道がんの場合も、一度耳鼻咽喉科で下咽頭や中咽頭を診察してもらう必要があります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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