吹風の(読み)ふくかぜの

精選版 日本国語大辞典 「吹風の」の意味・読み・例文・類語

ふくかぜ‐の【吹風の】

① 吹いてくる風が目には見えないようにの意で、「目に見ぬ」にかかる。
古今(905‐914)恋一・四七五「世中はかくこそありけれ吹かぜのめにみぬ人もこひしかりけり〈紀貫之〉」
② 風の音の意で、「音」「音に聞く」にかかる。
※古今(905‐914)恋五・七六二「たまかづら今は絶ゆとや吹かぜの音にも人の聞えざるらん〈よみ人しらず〉」
③ 風のたよりの意で、「たより」にかかる。
※後撰(951‐953頃)雑三・一二二四「浪にのみぬれつる物を吹風のたよりうれしきあまの釣舟〈紀貫之〉」
④ 風が荒いというところから、「荒し」と類音の地名「あらち」にかかる。
※玉葉(1312)冬・一〇一一「吹く風のあらちの高嶺雪さえて矢田枯野に霰ふるなり〈藤原家良〉」
[補注]「万葉集」では枕詞と明確に認定できるものはなく、「我がやどのいささ群竹布久風能(フクかぜノ)音のかそけきこのゆふべかも」(四二九一)のように、実際の風を詠んだものが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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