向田の火祭り(読み)こうだのひまつり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「向田の火祭り」の意味・わかりやすい解説

向田の火祭り
こうだのひまつり

石川県七尾市能登島向田町(のとじまこうだまち)の伊夜比咩神社(いやひめじんじゃ)で毎年 7月最終土曜日の夜に行なわれる祭り。地元では「お涼み祭」と呼ばれている。本来は旧暦 6月末日の行事で,この晩は越後の伊夜比古神(いやひこのかみ)がやって来て,伊夜比咩神(いやひめのかみ)と一年に一度の逢瀬を楽しむと伝えられている。祭りは,向田地区の壮年団が中心になり,青年団,子供組もそれぞれ役割を分担して行なわれる。午後8時に神社で神事が行なわれたあと,神輿が子供や若者が担ぐキリコと呼ばれる大小 7基の奉灯とともに,約 400m離れた崎山御旅所に渡御する。崎山には,高さ約 30mのマツの木を芯にして約 700束の柴を巻き,その上に青竹を立て,最上部に御幣を取り付けた大きな柱松明が立てられている。神輿が柱松明のまわりを 7周して御旅所に着くと神事があり,キリコを担いできた子供や若者たちが手に松明を持って柱松明の周囲を回り,合図とともに一斉に柱松明に火をつける。燃えた柱松明が倒れると,人々は幸運を求めて最上部の御幣を奪い合い,倒れた方角によってその年の豊作,豊漁を占う。(→火祭年占

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