向火(読み)むかいび

精選版 日本国語大辞典 「向火」の意味・読み・例文・類語

むかい‐び むかひ‥【向火】

〘名〙
野火などの燃え進んでくる火に対して、火勢を弱め進行をくい止めるためにこちらからつける火。むかえび。
古事記(712)中(延佳本訓)「火を打ち出し、向火(ムカヒビ)を著けて焼(や)き退(しりぞ)け」
② 怒り・嫉妬など、相手の感情が激した時、その勢いを押えるためにこちらも火のように激昂すること。
源氏(1001‐14頃)真木柱「この御気色もにくげにふすべ恨みなどし給はば、中々、ことつけて、我も、むかひ火つくりてあるべきを」
敵陣のかがり火と向かい合って、こちらの陣でたくかがり火。
源平盛衰記(14C前)三六「平家生田森に陣を取て向火(ムカヒヒ)を合す」
④ 人を怒らすようにしむけること。〔斉東俗談(1681)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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