向上寺(読み)こうじようじ

日本歴史地名大系 「向上寺」の解説

向上寺
こうじようじ

[現在地名]瀬戸田町瀬戸田

潮音山と号し、曹洞宗本尊釈迦如来。もと臨済宗仏通ぶつつう(現三原市)末寺。仏通寺の開山愚中周及の「大通禅師年譜」応永一〇年(一四〇三)の条によると、仏通寺に参集する行脚僧が多数に及んだので、この年に一〇〇余人を収容できる向上庵をこの地に建てた。当寺はその傍らに建てた小堂に始まるという。しかし「芸藩通志」は寺の所伝として「初は足利家祈願所なりしが、愚中此地唐土の径山寺に肖たりとて、更に諸堂を営み、其景を写せしといふ」とし、「観音堂後拝の板に狩野元信所図の四天王の像あり」と記す。

現在残る三重塔(国宝)は、永享四年(一四三二)小早川氏の一族生口惟平と庶子守平を大檀那として建立されたもので、同年六月三日、塔の本尊の開眼の式が仏通寺住持一笑によって行われた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「向上寺」の意味・わかりやすい解説

向上寺
こうじょうじ

広島県尾道市にある禅宗寺院。応永 10 (1403) 年に仏通禅師が創立した。国宝である三重塔は永享4 (1432) 年の造立で,和様基本細部禅宗様を用いた独特な形態をもつ。

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デジタル大辞泉プラス 「向上寺」の解説

向上寺

広島県尾道市にある寺院。応永年間の創建と伝わる。もと臨済宗、現在は曹洞宗。山号は潮音山、本尊は聖観世音菩薩(秘仏)。1432年建造の三重塔は国宝に指定

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