開眼(読み)かいげん

精選版 日本国語大辞典 「開眼」の意味・読み・例文・類語

かい‐げん【開眼】

〘名〙 (仏像の眼を開く意から)
① 新しい仏像、仏画を作り、最後に目を入れて魂を迎え入れること。また、その供養法会。一般の木像、画像、また新写の経典にもいい、転じて、一般的に物に魂をふき込むことをもいう。かいがん。
※続日本紀‐天平勝宝四年(752)四月乙酉「廬舎那大仏像成、始開眼」
② 真実の道理を悟ること。転じて、一般的に物事本質を悟ることや、こつをつかむことにもいう。
秘蔵宝鑰(830頃)中「仏法存故、人皆開眼」
③ 能で、シテ演技によって見物を感動させる箇所。
※三道(1423)「一番の眼(まなこ)を開く妙所なれば開眼と名付く」
④ (①から転じて) 新しい品物の使いぞめ。
浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)中「人の来ぬ間にあの蚊帳(かや)のかいげんをせまいか」
⑤ 女陰を開くこと。処女と関係すること。
浮世草子傾城禁短気(1711)一「されば半太夫そもそも新艘の開眼(カイゲン)我等いたして此方、末は根引約束

かい‐がん【開眼】

〘名〙
① (「開眼(かいげん)」を読み誤ったもの) =かいげん(開眼)
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)五「誰にも往来の僧の、たうとからんを頼みて、開眼(カイガン)すべしとて待ける所に」
② 見えない目が見えるようになること。また、見えるようにすること。「開眼手術」
③ 物事の真理や本質をさとったり、こつをつかんだりすること。
フランスの百科辞典について(1950)〈渡辺一夫〉五「個々の人間が、文化史的な開眼を受け」

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デジタル大辞泉 「開眼」の意味・読み・例文・類語

かい‐げん【開眼】

[名](スル)
新作の仏像・仏画を供養し、眼を点じて魂を迎え入れること。また、その儀式。「大仏開眼」「開眼供養」
真理を悟ること。特に、技術・芸能の道で真髄を悟り、極致を窮めること。また、こつを会得えとくすること。かいがん。「演技に開眼する」

かい‐がん【開眼】

[名](スル)
よく見えなかった目が、よく見えるようになること。また、よく見えるようにすること。「開眼手術」
かいげん(開眼)

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普及版 字通 「開眼」の読み・字形・画数・意味

【開眼】かいがん・かいげん

悟る。

字通「開」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の開眼の言及

【開眼供養】より

…新しく造った画像や彫像の如来・菩薩・天部・明王・祖師像などを賛嘆供養し,神威を迎えることをいう。略して開眼,または開明,開光明といい,遷仏ともいう。この開眼に事・理二相を説くのは《和語灯録》第5で,〈開眼と申すは,本体の仏師がまなこをいれ,ひらきまいらせ候を申候也。…

【大仏開眼】より

…752年(天平勝宝4)4月9日に東大寺の盧舎(遮)那(るしやな)大仏像の完成を記念して行われた法要。大仏開眼供養会ともいう。開眼とは新造の彫像,鋳像,画像などに筆墨などで眼に点睛を加え,魂を入れる仏教儀式をいう。…

※「開眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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